12月4日
2026年は制度改正等により、企業や家計(国民)に新たな負担が課される年になりそうです。
(1)4月からどうなる?
○「子ども・子育て支援金」の徴収が始まる(医療保険料とあわせて徴収)
○在職老齢年金制度の見直し(在職老齢年金の支給停止基準額が「51万円」→「62万円」に)
○防衛特別法人税の創設(4月1日以後に開始する事業年度から申告・納付が必要)
○住所等変更登記の義務化(不動産の所有者に対して、住所等の変更日から2年以内の変更登記が義務付け)
(2)10月からどうなる?
○消費税仕入税額控除の控除割合が引き下げられる
(経過措置が一部変更:免税事業者等からの課税仕入税額相当額の割合が「80%」→「50%」に)
○ビール・発泡酒・新ジャンルのビール系飲料の酒税が「54.25円」に統一
○カスハラ・就活セクハラ対策の義務化(2026年中)
決算を迎えたら会計事務所が行う「決算報告会」で、前期の振り返りと戦略をアップデートしましょう。決算報告会では、次のようなことを行います。
〇1年の振り返り
売上や利益、費用の増減に変化があった事項や出来事に着目すると、どんな1年だったかを、大まかに
振り返ることができます。
〇当期確定決算の報告・納税額の確認
前期比・計画比の数字を基に当期確定決算の数字を確認します。
いわば、社長の「1年間の成績」です。
〇戦略のアップデート
「1年間の成績」を踏まえ、今期の戦略を検討します。
継続すべき点/改善すべき点を洗い出し、今期の戦略をアップデートしましょう。
決算報告会は、社長の考えをアピールできる良い機会でもあります。可能であれば金融機関の方にも同席いただくと良いでしょう。
令和8年2月16日(月)〜3月16日(月)は、令和7年分所得税の確定申告期間です。特に個人事業者、不動産賃貸業者の方は、所得計算や控除に必要な書類や資料を、余裕をもって準備しましょう。
一定以上の所得があった個人事業者等は、確定申告をする必要があります。「所得」とは、収入から必要経費を差し引いたものです。また、事業所得以外の収入についても令和7年中に受け取ったものについては、申告が必要な場合もあります。また申告によって所得控除等が受けられる場合もあります。
「確定申告が必要かどうかの確認チェックリスト」を参考にして、確定申告が必要な収入があるかどうかをあらためて確認しましょう。また、「所得税の確定申告に必要な主な書類等のチェックリスト」等を基に、確定申告時に必要な資料も早めに準備しておきましょう。
11月4日
「年収の壁」の見直しで、所得税の還付を受ける人が増えるとされている今年の年末調整。従業員本人はもちろん、その配偶者や扶養親族の年収・年齢など、確認すべき点は例年より増えているため、「去年と同じ」ではNGです。
従業員に、年末調整に必要な各種申告書の入力方法(書き方)を説明する際に正しく伝えられるように、混同しやすい「年収(年間給与収入)」と「給与所得」の違いをまずは確認しておきましょう。
○年収(年間給与収入)…1月1日から12月31日までの1年間に、会社から支払われる総支給額のこと。税金や社会保険料等が引かれる前の金額を指す。
○給与所得…年収(年間給与収入)から給与所得者の「必要経費」とされる「給与所得控除」を差し引いたもの。その年の収入が給与所得のみの場合、給与所得=合計所得金額となる。
従業員から提出を受けた基礎控除申告書・配偶者控除等申告書・特定親族特別控除申告書をチェックする際、令和7年度税制改正により給与所得控除額と基礎控除額が見直されていることに留意が必要です。
減価償却とは、時間の経過や使用などによって価値が減少していく固定資産(=減価償却資産)の購入費用を、一度に経費として計上するのではなく、使用可能期間(耐用年数)に応じて、分割してその年分の経費として計上する会計上のルールの1つです。「費用収益対応の原則」に基づくもので、正しい期間損益を計算するために行われます。また、減価償却費は税法で規定された耐用年数に応じた期間にわたって、定額法や定率法に基づいて計上することが一般的で、損金(必要経費)として認められます。
なお、少額な減価償却資産の場合は、税務上、一時の損金算入が認められています。
○使用可能期間が1年未満のもの、または取得価額が10万円未満のもの
→「消耗品費」等として、購入したその期に一括で費用計上できる。
○取得価額10万円以上20万円未満の減価償却資産(一括償却資産)
→「一括償却資産」として3年均等償却できる。
また、中小企業(青色申告法人・個人)の場合、取得価額が30万円未満の減価
償却資産を年間合計300万円まで、全額その期に費用計上することができます(中小企業の特例)。
今期は売上も順調に伸び、利益も前年より増えているにもかかわらず、決算書を見ると資金(現金預金残高)は減少している。まるで、帳簿の中で資金が消えてしまったかのような「不可解なミステリー」です。
利益と資金は、まったく異なるルールと流れの中で動いています。例えば掛取引の場合、売上が立った時点で帳簿には収益が計上されますが、実際に資金が増えるのは売掛金が回収された後です。同様に、仕入が計上されても、買掛金の支払いが済むまでは資金は減りません。会計上の収益・費用と、実際の入出金のタイミングのズレこそが、利益と資金が一致しない理由なのです。発生主義など会計の仕組みへのあいまいな理解から生まれた「利益=資金」という誤解や、帳簿上の利益がそのまま現金預金として存在するはず──との思い込みこそが、「利益はあるのに、どうして資金がない?」事件の真相です。
利益を上げることは重要ですが、それだけでは十分ではありません。資金の流れを読み解き、資金繰りの改善に取り組むことが健全な経営の第一歩です。
10月2日
コロナ禍を経て、急速に広まったキャッシュレス決済。クレジットカード、電子マネー(Suica等)、二次元コード(PayPay等)など、その手段も多様化しています。キャッシュレス決済は、その決済方法により、大まかに①後払い式②プリペイド式──に分かれますが、いずれも「発生主義」で記帳することがポイントとなります。
①後払い式(クレジットカード決済):「取引時」「入金時・引落時」に仕訳が必要
②プリペイド式(電子マネー、コード決済):「チャージ時」「取引時」に仕訳が必要
なお、プリペイド式の電子マネー等は気軽に利用できるため、取引先等との飲食や備品を購入する時などに、プライベートのアカウントを使用してしまう場合があります。そのため、電子マネー等を使用した時は、必ず領収書をもらう、取引履歴をダウンロードして保存しておくなど、お金の流れが分かる証拠をきちんと残しておきましょう。
そもそも、プライベートのクレジットカード・電子マネー等の利用は、公私混同を招くおそれがあります。そのため、法人カードや法人用電子マネーを使うようにする、業務用携帯のアプリ・アカウントから決済する──など、事業用とプライベートのお金の流れを、きっちり分けられるような仕組みやルールをつくることが大切です。
今年、何かと話題の「年収の壁」。働き方が変化した方も多いと思われます。それに伴う年収の変化は12月以後に行う年末調整にも大きく関係するため、今一度おさらいしておきましょう。
「年収の壁」には①税金にかかわる「壁」②社会保険にかかわる「壁」――の2つがあります。
①税金にかかわる「壁」――納税者本人の所得税(住民税)に影響するものと、その配偶者や親等の税負担に影響するものとがあります。
○「110万円の壁」:納税者本人の住民税負担に影響
○「150万円の壁」「160万円の壁」「188万円の壁」「201万円の壁」:納税者の配偶者や親等の所得税負担に影響
②社会保険にかかわる「壁」――社会保険料の負担が生じる「壁」をいいます。
○「106万円の壁」:一定の条件のもと、健康保険・厚生年金保険の保険料負担が発生
○「130万円の壁」:原則として国民健康保険・国民年金の保険料負担が発生
「売上は伸びているのに、資金がギリギリ……」という経験はありませんか?考えられる要因の1つに、売掛金の回収遅延があります。
売掛金の残高は常に確認し、あわせて「変わったこと」がないか考えてみましょう。例えば、売上の伸び以上に売掛金が増加している、入金が遅れている、売掛金が長期間未回収となっている──等に該当する得意先がある場合には、売掛金の回収方法を検討することが必要になります。まずは営業担当者が訪問して得意先の状況や支払遅延の理由を確認。最終的には、社長自身が得意先に出向いて自分の目で現場を確認し、先方の社長と「膝詰め」で話し合うことも重要です。
売掛金が回収できなければ、資金不足を招き、借入れが必要になることも。売掛金の管理は、単なる経理業務ではなく、自社の健全経営を支える大切な業務です。全社員で意識しましょう。